ふざけた黒猫

VGプラス(Kaguya)の井上彼方といいます。

初めての朗読イベント「マイクからSF ライヴで楽しむ小説」をやったよ

Kaguya Booksで朗読とトークのイベントをやりました!

一人で読むもよし、
みんなで読書会をするもよし、
さまざまな楽しみ方ができるのが読書の魅力。
朗読とトークで味わうSF小説はいかがですか?

ということで、朗読とトークで《地域SFアンソロジー》シリーズを楽しむイベントをKaguya Booksで開催しました。

とっても楽しかったし、アーカイブをたくさんの方に見ていただきたいので、感想のブログを書きました。アーカイブは7月29日(月)23:59まで閲覧できます。ギリギリまでこちらからチケットも購入できます。

朗読のパートでは、北野勇作さん、なかむらあゆみさん、御守ミコ(きのホ。)さんに、『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』、『巣 徳島SFアンソロジー』、『京都SFアンソロジー:ここに浮かぶ景色』の収録作品を朗読していただきました。

トークのパートでは、北野勇作さん、高山羽根子さん、吉村萬壱さんに地域とSFや方言とSFについて色々お話しいただきました。

当日の様子

トップバッターは北野勇作さん。『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』に収録されている、北野勇作「バンパクの思い出」を朗読してくださりました。すごいスピードで朗読される関西弁の“べしゃり”が圧巻でした。

books.kaguya-sf.com

なかむらあゆみさんは、『巣 徳島SFアンソロジー』より、なかむらあゆみ「ぼくはラジオリポーター」を朗読してくださりました。登場人物たちの顔が見えてくるような朗読で、とても素敵でした。ルルのまっすぐさが伝わってきました。

私の好きなところ(ラジオリポートを通して、毎年海外旅行に出かけているおばあちゃんの存在を知った別のおばあちゃんが、自分も海外旅行に行ってみたというエピソード)が朗読されていてとても良かったです。

books.kaguya-sf.com

京都を拠点としたアイドルグループ、きのホ。の御守ミコさんは、『京都SFアンソロジー:ここに浮かぶ景色』より、鈴木無音「聖地と呼ばれる町で」、織戸久貴「春と灰」の一部を朗読してくださりました。

これは他の方もSNSで言っていたのですが、北野さんとなかむらさんは朗読用に多少のアレンジを加えた上で、物語の冒頭というか、立ち上がっていくところを朗読されたのですが、御守さんは自分の好きなところを読んでくださったというのが面白かったです。

どちらも物語のクライマックスというかラストの部分だったのですが、どこをチョイスするかということも含めて、御守さんがどのようにこの作品を味わったのかということがしみじみと伝わってくる素敵な朗読でした。

books.kaguya-sf.com

三者三様の朗読は、朗読というのは、どこをどのように読むかということ込みで一つの〈解釈〉であり、作品に新しい可能性を吹き込む作業なのだなと改めて思いました。

ちなみに「聖地と呼ばれる町で」の著者である鈴木無音さんも感想のブログを書いてくださっています。

suzukibuin.hatenablog.com

トークのパートもすごく面白かったです。最初は、「方言と小説」というところから話が始まりました。「喋っている言語」と「書くための言語」と「フィクションを執筆する時の言語」が必ずしも一致するわけではなく、その違いは実は、フィクションを書くとはどういうことなのか、ということと絡み合っているような気もします。

そこから派生して「一人称」の話や「箱庭を作る装置としてのSF」などなど、面白い話が盛りだくさんでした。詳しくはアーカイブを視聴してください。

ちなみにトークの冒頭、吉村さんと北野さんが前回の万博の思い出話に華を咲かせ始め、それを「面白いが本題からは外れているのでいつこれに介入して止めるべきか」というのを迷いながら聞いていたのが、この日一番緊張したことの一つでした笑

ということで、地域SFアンソロジーを楽しく読んでくださった読者の皆さんも、SF好きな皆さんも、SF小説を書かれる皆さんも楽しんでいただけると思いますので、ぜひアーカイブをお聞きください。

配信って難しい!

実は今回のイベント、Kaguya Booksとして初めての朗読イベントでした。トークのイベントは色々したことがありますが。また、ゲストも参加者も会場とオンラインのハイブリットということでオペレーションはなかなか緊張しました。

会場のクエスチョンの方には配信の機材についても相談に乗っていただきまして、部屋のサイズと朗読というイベントの性質を踏まえて、機材をお貸しいただきました。本当にありがとうございました。

……が、朗読をきれいに拾うことを優先したため、会場の拍手や笑い声が配信では全然聞こえなくて、その点は申し訳ございませんでした。会場では温かい拍手を何度もいただいたのですが、その優しい雰囲気は伝わりにくかったかと思います。

また、実は北野さんの朗読は、ブーっというブザー音で中断されて、朗読と現実がないまぜになったような終わりを迎えるのですが、これも「ノイズ」として判断されてしまったのか配信では聞こえなくなってしまっています。

朗読の間に私と北野さんと御守さんでお話ししている音声も、ところどころ聞こえにくいところがあるかと思います。

機材にどれくらいお金をかけるかということと、イベントを赤字にしないということと、どうやったら会場の皆様にも配信の皆様にもちゃんと情報を届け、楽しんでいただけるのか、というあたりをどうブラッシュアップしていけるのか、というのは今後の課題です。

 

ちなみに、朗読→短いおしゃべり→朗読→短いおしゃべり→朗読→短いおしゃべりという構成は、北野勇作さんが毎週参加されている〈犬街ラジオ〉を参考にさせていただきました。

twitcasting.tv

一度の朗読だけでお話を聞き取るということが、私自身はけっこう苦手で、(なの今回のイベントでもどの小説を読むかを事前にお知らせして、予習ができるようにしました)朗読だけで30分、40分と続くと、普段朗読を聴き慣れている人じゃないとちょっと疲れてしまうかな、と思ってこういう構成にしてみました。

朗読イベントは色々な形でやっていきたいので、こういうふうにするといいかも、というアイデアがあったらぜひ教えてください!